北村研太助教が化学工学会第54回秋季大会で粒子流体プロセス部会 シンポジウム賞を受賞しました
2023年9月11日(月)に福岡大学七隈キャンパスで開催された化学工学会第54回秋季大会で北村研太助教(環境応用化学科、受賞当時は教務助手)が粒子流体プロセス部会 シンポジウム賞(奨励賞)を受賞、化学工学会第89年会(2024年3月18-20日)で表彰され、受賞記念講演をおこないました。受賞した講演は「固練り条件がリチウムイオン電池及びレドックスフロー電池スラリーの粒子分散状態に与える影響」です。
粒子を用いた製品の製造では、粒子の集合状態が製品性能に大きな影響を与えることが知られています。そのため粒子を溶媒と混合してスラリー(液体に粒子が分散した状態)とし、粒子集合状態を制御することで製品性能を最適化する取り組みがおこなわれています。この粒子集合状態の制御技術の一つに固練りと呼ばれる手法があります。固練りは、粒子と溶媒を混合する際に最終組成よりも高い粒子濃度で練ることにより、粒子の良好な分散状態を実現する手法と位置づけられ、さまざまな製品の製造において採用されています。一方この技術による分散メカニズムは未解明であり、固練り条件は技術者の経験や勘に依拠して設定されている実情があります。
これら背景に対し、本研究ではリチウムイオン電池やレドックスフロー電池の電極スラリーを対象に、固練り条件がスラリー特性に与える影響を詳細に解析しました。その結果従来まで固練りは粒子の分散を促進する手法とされてきましたが、この研究により固練りの効果に対して新たな理解が必要であることが明らかになりました。この成果は、電極製造におけるスラリー調製のアプローチを見直す契機となり、品質・性能・信頼性の向上を促進する可能性があります。さらに、固練りが用いられる他の産業においても、粒子の分散制御に役立つ手がかりになると期待されます。以上の観点から、本研究は固練りを利用したスラリー調製における重要な前進と考えられます。
研究グループは北村研太助教(受賞当時は教務助手)、森隆昌教授です。
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